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2018年7月21日 (土)

琥珀を聴いた感想

ボキャブラリーも文才もない私だもの上手に言おうとしても絶対無理。今回のアルバムを聞いた感想を思ったまま素直に書こうと思う。ブレないハットリ・スタイルを確立させながらも、レベル上げたな、おい!って。(笑) これが正直な感想。どうしても職業柄、偏屈な耳で聴いてしまうとアレンジ細部のウンチクは色々とあるのだが、自分の感想を思ったままに書かせてもらう。僕の数少ない尊敬するミュージシャンの一人として。。。


まず、ジャケットのデザインがイカしてる。デザイナーのセンスと、これを採用とする感性が良い。琥珀というアルバムタイトルをさらに説得させるデザイン。しかも開封して、CD盤面印刷を拝見すると、さらにニヤリ。CDを聞かなくてもジャケットを額に入れて飾っておくのも良し。さて、本音で書きますか!



01. Azure
1曲目から思わずニヤっとさせらた。イントロを聞いた瞬間から、あぁ、これね、ザ・ハットリ楽曲だわ!と。この紺碧は「見上げる青」。僕が持つ自然の青は様々あるのだが、大好きな旅行の飛行機から“見下ろす青”か、ダイビングで海深く潜った時の“吸い込まれる青”なのだ。優しい青が空から降り注ぐ、そんな風景を思わせる曲だった。服部氏“らしい”楽曲ではあったのだが、今までの服部楽曲には無かった何か新しいもの、それは曲間にうっすら現れる旋律だったように思う。女性ボーカルのようなラインは、その紺碧の空いに漂うグラデーションのあるフワフワの雲。っていうか、詰め込み過ぎじゃろ!オイラには「入れたいパートを整理したら?」とか言ってたくせに!(笑) クソっ、やられたわ。その割には音の住み分けがされているので全てのパートが心地良い所に収まっている。これはエンジニアとしてミキシングからマスタリングまで1人で完結できるからこそ、こういうアレンジができるのだろう。最後のギターのアドリブは取って付けた感じ満載なのだが、この1曲で服部氏の音楽が全て収められていると言っても過言ではないだろう。 ループ的なドラムの中にイケてるフィルも効果的なのだが、アドリブ中のフィル多用はお腹いっぱいになったw。ギターのクランチやカッティング、スラップベースも自分で弾いてるんだよね?本物の弦楽器が弾けるのは強いよな。


02. 流滴
服部氏の何作目のアルバムだったろうか「Cube」を思い出した。メロディーの主張ではなく聴き手に場面や空間を想像させるような作品。サスペンスドラマの緊迫した場面、刑事が薄暗がりの中、犯人を追い詰めるシーンにピッタリだ。ピアノの音源は何を使ってるんだろ?全体的に非常に聴き慣れたヤマハチックな音がするのだが。。。楽曲全体的に使われているパッドの時間軸処理も面白い。ビンテージ?それとも最新のソフトシンセを使ってるの? 中間部の展開でのギターの掻きむしっている感じがイケてるし、ドラムもリアルっぽいが、もっと暴れて欲しな…という個人的欲求を書いておこう。時たまパンが左右に揺れて現れるシーケンス的ノイズは何だ?Stylus RMXか?とか、そういう聞き方をしてしまうのだよオタクだから。(笑)


03. 琥珀
ハットリ君がワルツを書いたら、こうなるよね!というテッパン。これは是非ライブで聴きたい1曲。ギターの音作りもハットリ・デフォルトなディストーションで、黙々と弾いてる姿が想像できるね。ピアノアドリブ後から入って来る、弦の対旋律がオイシイとこ縫って来るんだけど、ここまで考えたんだったらラストのハイラインまでちゃんと考えようよ!と、ツッコミながら聞いてた。ハットリ氏の歌う鍵盤ハーモニカのダイナミクスに呼応させるには、オルガンの強弱は、もっとエゲツない方がこの楽曲には合うじゃないかな…と思った。このアプローチするならエクスプレッションペダル使うとか、どうせならハモンドとか生録とかしても良かったかもね、50周年なんだから!(笑) 買っちゃおうか、ロータリースピーカーも一緒に!でも、あの乱雑なスタジオにはもう入らねぇわな。(笑)


04. 今もあるもの
鍵盤ハーモニカって好きじゃないのよ。正確には好き「じゃなかった」。これは小学校の教具で使ったイメージがあるからなんだけど、息で強弱をコントロール出来ないチープな音が、小学生には難しかった。けど、松田昌さんや服部さんが吹いているのを聞いたら、あぁ、歌心がある人が吹くと、こんなに表現できる楽器にもなるんだな!って気付きがあった。鍵盤奏者がメロディーを歌う楽器には、これもありかも…と思わせてくれる楽器に変わったのよ。メロディーに説得力があるってこういうこと。だからこそ「展開をもっと聞きたいんだけど…」と思ってしまった。1分ちょいで終わるなんて。ってか、もしかして、これが作戦か!? 美味しいものは、ちょっとだけ食うのがイイんだ!ってやつ。いや、それにしても、ちょっと短すぎだよ。198円分くらい返金していただけないかしら。(笑)


05. やくそく20160311
申し訳ありませんが、朗読は要らないと思う。しかも車で聞いてたらロードノイズで何言ってるか聞き取れないし。それだけ、曲が良い! あの50過ぎの小太りのオッさんからは想像できない逸品。僕も40年とちょっと生きてきて、様々な出会いや別れがあり、想い出を懐かしむような曲…。ピアノの音が明らかに他の作品とは違った。本物のピアノだよね、やっぱ良いわ生ピアノ。生ピアノはp(ピアノ)の表情が豊かだ。録音も綺麗だし。これもYAMAHAのピアノ? 聞き馴染みのある音色だった。もしそうだとしたら、すごい忠実に録音できてるし、レコーディング技術もさすがだと思う。2コーラス目からパッドがうっすら入って来るんだけど、そこにも旋律らしき音が存在している。けど、ヘッドフォンで聴かないと聞き取れないレベルになってる。場所によってはもっと出て来ても良いと思う。パッドのフェーダーをもっと吟味しても良いかもね。これ弦4本くらいで存在感あっても良いし、リベラのボーイソプラノのクワイアがあっても良い曲だな。心に響いたな…そんな悲しくも生命力を感じられる作品だった。


06. Platinum Drops
ピアノの波形を逆転させるリバースから入り、イイ感じ!と聴いてたのは2小節。アタマから、ビットクラッシャーで潰したキックは無しだろ。冒頭はピアノだけで充分説得できるでしょ!(笑) 深夜飛行のジェットストリーム、城達也さんの低音ナレーションを聞きたくなるようなプラネタリウムの暗闇で星を眺めならマッタリ聞きたい曲。エレピが入って来た所からのキックは、さらに低音に落ち込む感じとリバーブ。冒頭のシンセベースの音価が何とも言えぬグルーブを作っていたが、ホワイトノイズを跨いでウッドベッースに変わってしまった。これは成層圏を抜け外気圏に抜けてしまったイメージなのだろうか。途中から現れるストリングスもラジオEQ処理している感じと思ってたら、最後はリアルなトレモロストリングスのクレッシェンド。これはもしや!? プラネタリウムで好きな子と夢のようなデートをしていたのに、その会場をを出たらリアルな現実な世界を表現したかったのか!?そこまでドラマを妄想してしまった。(笑)


07. Vent et Soleil
この楽曲も、ザ・服部ライクなラテンナンバー。メセニーのアルバムに出てきそうなシンセ・パンフルートでメロディーを取っているが、ライブなら鍵盤ハーモニカでしょ!と。メンバーも想像がつく。ドラムは及川さん、ベースはヒロキさん、パーカションは斎藤さん…みたいなテッパンメンバー(笑) 。服部氏の若し頃やパッシオーネの頃のラテンに比べると随分と大人っぽいラテン感じがした。この楽曲、ベース、ウッドベースの音だけど、服部氏、ウッドベースも弾くの?シンセか? ギターのクランチもボキャブラリー豊富だな。こういう楽曲を1人多重録音で出来てしまう音楽力は、彼の今までのセッション力が土台にもなっていると思う。服部氏の周りには素晴らしいミュージシャンが集まっているのだ。


08. 夕日の記憶
たまに、いちいちタイトルがオシャレなんだよね、この人ってば、もう。モチーフの入口、5音をを聴くと、数年前まで散々流れていた復興ソングを彷彿させるが、それは置いておき、ハーモニー進行はオイシイ定番だろ。もうね、こういうセオリー的な聞き方しか出来ない自分が恥ずかしいくらい、服部さんは感性でソレを知っている。彼の魅力はこういう所もまた一つだと思う。「これが良いと思うから俺はやる!」みたいな。僕は最近、計算ばかりしてて、バスとメロディーの関係性や和音の流ればかり気にし過ぎて「感性」に任せて作ろうと思っても、気づけば、どうすればオイシイか…ばかり狙っている。こんな素敵な楽曲なんだから、ストリングスを使うのでしたら、もうちょい吟味していただきたいわー…なんてね(笑) 駆け上がりのストリングスとレガートの処理を変えるとか。リフレインのストリングスももっとハッキリ聞きたい。すいません、生意気に。f(^-^;)


09. Crepuscule
いやらしい曲。エロい。これ水沼と服部氏と3人で遊んでた時の課題曲なんだよね、旅プロって名前で。デートの曲に聞かせる曲ってお題だったと思うけど。服部氏、この50年の人生で何人とデートしたんだ?って話しよ。これは明らかにデートで助手席に乗せた子に「これ俺つくった曲なんだけどさ!」って聞かせるキザな曲なのに。この曲はエロ!さて、楽曲について、この曲、生ベースじゃないよね? 音源のベースだと思うんだけど、パターンもキックと被ってしまってるので音程が分からなく時がたまにある。ハーモニー進行が聞こえるし一定なので、ベースラインは想像できるんだけど。この手の音の処理って難しいよね。今度自分の作品を作る時の課題にしよ!と思いながら聞いた。クラビネットのカッティング、定位は右寄りだけど、クロスディレイで左にも飛ばしてる? このクラビと対比させて場面ではギターのカッティングか。途中の口笛も生録ね、口笛を録音するって難しいみたいよ。ほんと、いやらしい、ってか卑猥だわー(笑) 


10. 手をつなぐ道
このアルバムを締めくくる意味がある1曲だと思う。僕には理解できる。これぞ服部氏が半世紀生きてきたドラマの節目の1曲であり、これからのスタートの曲になるのだろう。この楽曲は僕にとっても色々な想いが走馬灯のように蘇ってくる。この楽曲こそ、ベルやパッドも要らない生ピアノ1本でも良かったと思う。この最後の曲を聞きながら、僕も全盛期に一緒に活動したドラマーを偲ぶ。そろそろ命日だ。音楽を演奏する楽しみ、自己表現する楽しみ。これをもっと多くの次世代に伝えていきたい。



まさにこのアルバムは、服部暁典の濃密な樹液のような音楽人生をギュッと圧縮したような、そして、その樹液の中には彼自身のブレない音楽スタイルが樹液に固められた琥珀のような作品に仕上がってっると思った。あらためて誕生日、そしてその記念日に作品を発表できたこと、おめでとうございます。いつも刺激をありがとう!


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